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地域メディアプラットフォーム研究会
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第1回地域メディアプラットフォーム研究会

日 時 : 

2017年11月18日(金)13:30〜14:45

場 所 : 

 早稲田大学 早稲田キャンパス 19号館 315教室

テーマ : 

日本のオンラインニュースメディアの展望:テレビ報道はどうなっていくのか

報告者 :

福原伸治氏(フジテレビジョン)、堀潤氏(ジャーナリスト/NPO法人「8bitNews」)

討論者: 脇浜紀子(京都産業大学)

司 会: 菅谷実(白鷗大学)

概 要 :

メディア消費形態がネットやモバイルへと移行する中、ニュースメディアのあり方が問われている。伝統的な商業メディアが広告費の奪い合いを恐れ、ネット戦略に消極的な姿勢を見せる一方、NewsPicksやハフィントンポストといったデジタル新興メディアが力をつけつつあるが、ビジネスモデルや人材確保、記者クラブ問題など課題も多い。
そこで第1回研究会では、2015年4月にオンラインの24時間報道専門チャンネルとしてフジテレビがスタートさせた「ホウドウキョク」のプロジェクトリーダーである福原伸治氏と、NHK退局後に市民参加型ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げたジャーナリストの堀潤氏を招き、日本のオンラインニュースメディアの展望についてご報告頂いた。また、脇浜氏とフロアを交えたディスカッションも行った。
(1)オンラインニュースのこれから(福原氏)
既存の新聞社やテレビ局がオンラインニュース事業を行えるかというと、恐らく厳しいだろう。その理由としては、ステークホルダーが多すぎること、スピード感に対応できていないこと、ユーザのニーズとズレがあること、資金がないこと、組織が硬直化していること等が挙げられる。
ただし、以下の三つの方法によって、オンラインニュースが今後拡大していく可能性はある。すなわち、第一に、既存マスメディアと新興勢力のコラボレーションがある。テレビ朝日とサイバーエージェントが共同開局した「AbemaTV」が代表事例として挙げられる。第二に、外資系事業者の進出がある。NetflixやAmazonといった潤沢な資金を持つ外資がオンラインニュース・サービスを開始する可能性はあるだろう。第三に、新しい概念のベンチャーの立ち上げがある。メルカリのような異業種事業者がオンラインニュースを手掛けても決しておかしくはない。
(2)8bitNewsとGARDENの取組み(堀氏)
8bitNewsは2012年、パブリックアクセスや個人配信を重視するオンラインニュースメディアとして誕生した。2017年現在、600〜650人の投稿者がおり、選挙候補者の街頭演説や被災地の様子といった一次情報を主とした約2,000本の動画が視聴可能である。また、毎日新聞やGoogleと連携して投稿者向け育成ワークショップを開催しているほか、被災者によるトークイベントや被災地へのツアーといったリアルイベントも行っている。今後はさらに多くのメディア企業と恊働体制を作っていきたい。
2017年5月には、マスメディアでは中々取り上げられない公益事業者やNPO団体のプロジェクトを紹介するGARDENを新たに開設した。同サイトでは、プロジェクト紹介の下に「取材したい」「寄付したい」「参加したい」「共感する」アイコンを設置しているほか、団体と企業とのマッチングも行っており、最近では米ハンバーガーチェーンのシェイクシャックと日本盲導犬協会が提携を結んだ。また、GARDENが各団体の紹介動画を作成し、著作権は団体側に付与するという、団体のPR活動を支援する仕組みもある。
(3)ディスカッション
脇浜氏:8bitNewsやGARDENを運営するための資金はどのように集めているのか。
堀 氏:8bitNewsではお金のかからないサイト作りをしており、運営費はサーバ費にかかる月5万円程度だ。動画は個人がYouTube Channelにアップしたものをサイトに掲載する形をとっているが、二次使用権は8bitNewsにあるので、マスコミやGetty Imagesへの販売も行っている。そのほか、講演依頼があるので講演料も頂いている。一方GARDENは、団体と企業をマッチングする際の中間マージン、GARDENをブランドとして用いる団体から頂くブランディング料、クラウドファンディングで集めた資金で運営している。8bitNewsにしろGARDENにしろ、他企業や他団体との恊働関係が基本となっている。恊働するとそれほどお金はかからない。
福原氏:堀氏は彼自身がメディアなので特別だとは思うが、よく考えられたwin-winの恊働関係を構築していると思う。ただ、市民メディアではなく、マスメディアの場合、8bitNewsとは異なる仕組みを考える必要があるだろう。そのメディアが平事と有事のどちらの利用を念頭に置いているかによっても変わってくると思う。
脇浜氏:アメリカでは非営利メディアが存在感を増してきているが、非営利とはいえ、新  聞社から引き抜いた有名なジャーナリスには十分な給与を支払っている。その点について8bitNewsはどのようにしているのか。
堀 氏:8bitNewsからの給与はないが、企業から講演料等を貰うことはある。
福原氏:日本で非営利メディアの運営が困難な理由の一つに寄付文化が根付いていないことがあると思う。堀氏のようにwin-winの恊働関係をつくる動きも徐々に出てきてはいるが、災害時にも対応できるよう、普段からの関係作りが肝要だ。いずれにせよ、堀氏のような人がもっと出てこなければならない。
フロア:8bitNewsのウェブサイトには広告があったが、スマートフォン対応サイトには広告が入っていない。何か差別化をしているのか。
堀 氏:コンテンツが見辛くなるのでスマートフォン対応サイトからは広告を外した。ただ、広告収入はほとんど売り上げに寄与していないので、ウェブサイトからもいつか外すかもしれない。
フロア:市民メディアが大企業や政府といった権力者を敵に回すようなジャーナリズムを行うためにどのような方法があるか。
堀 氏:この情報は媒体Aでは出せないが媒体Bでは出せるというように、恊働して、みんなでリレーすることで、リスクを回避することができると思う。例えば、日本と国交のない国や紛争地域で支援活動を行うNGO団体に日本国際ボランティアセンター(JVC)があるが、GARDENでは同団体の活動を取り上げてくれるメディアを探した。その結果、現在はGARDEN×JVC×講談社で連携しており、いずれはテレビ局とも提携を結びたいと考えている。

以   上